公差ってどうやって設定するの?
設計図を書く時に寸法をいれるのだが、設計図がモノの状態を表す図面として書く場合、モノにはバラツキが存在するので、寸法値に公差というものを設定する。
ただこの公差やっかいな事に設計者は実際のモノがどのようなバラツキであるか判明する前に考えないといけない。
ここで設計者は、このモノは、こんぐらいの範囲で寸法がバラついてほしいなぁという思いと、過去同じような設計した時にこんぐらいの範囲でできてたよなぁっていう感じで公差を決めてたりするのだが、製造する側の人からとってはそんなに公差厳しくしないでよーと言われたりするものである。
公差をゆるく設定するために最小二乗法
ここで下図のような厚さ10mmの板を3枚積み重ねたとする。積み重ねた時の高さは、
$$ 10✕3=30(mm) $$
である。
しかし、板の厚みにはバラツキがあり実際に30mmピッタリになる事はなかなか、ないのである。
仮にこの板に±1mmの公差があったとすると
$$ 最大:11✕3=33(mm) $$
$$ 最小:9✕3=27(mm) $$
となり、高さのバラツキは30±3となる。この±3が積み上げただけの公差、積上げ公差である。
ところで一方では、±1でバラツキものを組み合わせる時、ホントに全部公差の最大最小に偏る確率って低いんじゃない?と考える事もできるのである。
そこで考え出されたのが最小二乗法の公差であり、公差の二乗したものを足し合わせて、平方根とったら確率的にあり得る公差になるとしたものである。
計算式で書くと
$$ \sqrt{1²+1²+1²}=1.732 $$
となり、先ほどの30±3が30±1.732まで公差が少なくなりバラツキがおさまったのである。
計算だけでバラツキが抑えられて最小二乗法は便利なのだが…
最小二乗法は確かに便利で、筆者も普通に使って設計する事もあるのだが、気をつけておかないといけない事がある。
最小二乗法の考え方はあくまで板の厚みのバラツキ度合いがすべて同じなら公差を組み合わせることが可能なのだが、そうはいかない場合がある事を知っておいてほしい。
例えば、板が一つの製造工場ではなく、A、B、C、の3つの違う工場で作られているとする。
A工場の板の厚みは、10.9〜11.0のバラツキ内に板の厚みが揃っている。
B工場の板の厚みは、9.0〜9.1になっている
C工場の板の厚みは、10.5〜10.6になっている。
このような状態で、今日はA工場の板だけ組み立てるので~ってなると、板を3枚重ねた実際のモノは厚み寸法は、32.7〜33.0となって、最小二乗法で設定した30±1.732の公差範囲を外れてくるのである。同様にB工場だけの部品で組まれても寸法が外れるし、A、B、Cそれぞれの工場が入り混じって組み合わさるとさらに公差がバラつくのである。
どの工場も、板の厚み公差10±1をきちんと守って品質が高く、寸法公差内で合格品を製造しているが、組み合わさると寸法NGと判定されるのである。
最後に
実際の現場ではこういった事が起きるのでやたらめったら最小二乗法で公差を設定するのはやめたほうがいいのである。筆者のオススメは、最小二乗法を使わない状態で成り立つような、設計公差設定にまずはするべきである。
それでも最小二乗法を使わないと設計がなりたたないのであれば、上記を知識として知っておいて、公差を考えてもらいたい。
今日は、この辺で



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