設計パラメータの最適化を実現する「タグチメソッド」について話したいと思う。このタグチメソッドは、日本の統計学者、田口玄一氏によって開発されたものである。彼の革新的なアプローチは、製造業だけでなく、サービス業やその他の分野でも広く採用されている。
技術士2次試験の試験対策本にも掲載さていることが多く、2次試験の論文時にこの内容を書けるようになっていると、あなたが技術者としてやったことは?の問いに答える際、書きやすくなる。
しかしながら、このタグチメソッドは実際に使ってみて有用性を肌で実感しないとなかなか頭に入ってこない。ここでは、筆者が過去タグチメソッドを使って設計パラメータの最適化を実施した内容を記述していきたいと思う。
タグチメソッドの概要
タグチメソッドは、製品の品質を最適化するための方法論である。このメソッドの中心には、製品やプロセスの設計段階での品質向上を目指す「ロバスト設計」がある。ロバスト設計とは、外部環境や内部変動に対して安定した品質を維持する設計を意味する。
基本原則
タグチメソッドの基本原則には以下のものがある。
- システム設計:まず、製品やプロセスの基本的な設計を行う。この段階では、全体の構造や機能を明確にし、目標とする品質水準を設定する。
- パラメータ設計:次に、製品やプロセスのパラメータ(変数)を最適化する。田口氏のアプローチでは、パラメータの組み合わせを実験し、品質に最も影響を与える要因を特定する。
- 許容範囲設計:最後に、製品やプロセスの許容範囲を設定する。これにより、製品が一定の品質基準を満たすための変動範囲を決定する。
実験計画法(DOE)
タグチメソッドの核心には、実験計画法(Design of Experiments: DOE)が含まれている。この方法では、効率的に実験を行い、少ない試行回数で最適なパラメータ設定を見つけ出すことができる。田口氏は、直交配列を使用して実験を行い、効果的なデータ収集を行う手法を提唱している。
この直行表を使いこなすのが、結構面白いので、設計者はいろいろ試してもらいたい。
直行表には、種類に性質が異なったりする。
ノイズと品質
タグチメソッドのもう一つの重要な概念は、「ノイズ」と「品質」の関係である。ノイズとは、製品やプロセスの外部からの影響であり、これを最小限に抑えることで品質を向上させることができる。タグチメソッドでは、ノイズを考慮した設計を行うことで、製品の信頼性と耐久性を高めることができる。
L16直交表を使った実際の事例
ここでは、タグチメソッドのL16直交表を使用した具体的な事例を紹介する。L16直交表は、16回の実験で効率的にデータを収集し、最適なパラメータ設定を見つけるために使用される。
筆者は、このL16直行表を使って何を最適化したかというと、シングルピストンのエンジンにおけるデコンプ機構の最適化を行った。
デコンプ機構の基本原理は、圧縮行程中にシリンダー内の一部の圧力を逃がすことで、始動時のピストンの動きを軽減することにある。これにより、エンジンをかけるための紐で引っ張ってエンジンをかけるリコイルの引く力が少なくて済むため、リコイルスターターを引く際の負担が軽減される。
よって、圧縮工程中のどのタイミングで圧力を抜くのが一番最適化をタグチメソッドで求めたのである。

事例:デコンプ機構の最適化
因子として、デコンプによる圧縮を抜くタイミング角度を2水準設けるのを主のパラメータとして、他にも温度条件や、バルブクリアランス、プラグの種類、プラグ火花の強さなどのパラメータを振って直行表に割り当てた。(詳しい計算はまた別にしようと思う。ゆるくいきたいので)
それらの組み合わせで16回リコイルスターターにてエンジンをかけ、リコイルの引張力をプッシュプルゲージで測定しその値を計算した。
工夫した点としては、年齢20代の若い人がエンジンをかけた場合と70代の高齢者がエンジンをかけた場合の2種類のデータをノイズとして設定したことである。
結果:誰でもエンジンがかけれるリコイル引張力に調整できた。
L16直行表を用いた結果を分析したところ、圧縮上死点前にある特定の角度で圧縮を抜くと誰でもエンジンがかけれるデコンプ機構を作り上げることができたのである。
おわりに
タグチメソッドは、設計パラメータ最適化のための強力なツールである。田口玄一氏の革新的なアプローチは、多くの業界で品質向上を実現してきた。今回、記述したことはタグチメソッドのほんの一部でしかない。製造現場でのコスト削減にも役に立てることができる。このタグチメソッドを実際に使ってみて、活用することで、あなたのビジネスでも大きな成果を得ることができるし、技術士2次試験の論文対策にもなることを願う。



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